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二話「海月とイーナの休日の日々 前編」

二話『海月とイーナの休日の日々 前編』

今日は海月の仕事はお休み。

だけどイーナはいつものように時間が来たら、二階の寝室で眠る海月を起こしに行く。

不愉快な事に三日後の次のお休みは巳竹と一緒に三人で遠出するみたいだけれど、今はそんな事忘れてしまおう。

今日は一緒に二人で外出する約束だから。

階段を上ってすぐの部屋が海月の部屋。隣りは居候している八神の部屋。

八神は正社員のお仕事も予定も無いから起こさなくて良いらしい。

不景気って大変。

イーナはこの時代に人間やってなくて良かったって唯一思える事かも。

ベットの上で目を瞑る海月を両手で揺すって声をかける。

「海月起きて。もう7時。」

これでは起きない。

いつもの事。

ベットによじ登り、布団越しに海月の上に乗って揺すりもう一度声を張り上げる。

「海月、起きて!朝御飯も出来た!冷めちゃう。」

海月は「うぅ…」と小さく呻いて、ゆっくり目を開けて手で顔を擦ってから

「おはよう。イーナ、そこに居られたら起きれないぞ。」

と、笑う。

イーナも笑って「おはよう」って言って、降りた後いつもより大袈裟に尻尾を降って先に部屋を出て階段を降りる。

そして、台所に用意した朝食を持ってリビングに運ぶ。

後を追うように海月が降りてきて、イーナの側に座る。

イーナはテレビのリモコンを探して、机の下から見つけたリモコンの赤いボタンを押してまずアニメがやってないか番組表で確認。

私としての自我に気付いて自分が死んで居て幽霊だと分かった頃には、まだテレビなんて無かったからこれを見るのは結構楽しみだったりなんかする。

でも、海月は見飽きたとでも言うようにテレビから視線を外して二階の部屋から持って来たノートパソコンを開く。

あれはえいすーすと言う台湾の会社が作った物らしいけど、イーナには日本製も台湾製も違いがあまりよく分からない。

とりあえずイーナに重要なのは、あれはイーナが使おうとすると怒られるって事。

特に、eroって書いてある物は見ちゃいけないらしい。見たらダメな大人になるとか。

でも、二階のデスクトップパソコンはイーナが使っても許される。

だから海月が仕事で居なくてどうしても暇な時は、二階のパソコンでアイポットナノに音楽を新しく入れたり、らてーるせかんどしーずんで架空の世界を冒険して遊ぶ。

でも、らてーるはねとげだからやり過ぎると廃人になってダメな大人になるって言われた。

海月が仕事で出かけようとした時、イーナが何度も付いて行こうとしたら海月に困った顔をされてしまったから、今ではもう付いて行かないようにしている。

本当は、寂しいし心配だから付いて行きたい…。

だからイーナにとって、海月の休日はとっても大切で嬉しい。

海月は仕事なんか止めてせーかつほごとか言う物を貰えば良いのに。そう言えば、八神はどうしてせーかつほごを貰わないんだろう?

イーナがそんな事を考えつつアニメひきょうせんたいうろたんだーを見ていると、海月はご飯を食べ終わって「ごちそうさま」と言いながら頭を撫でてくる。

今日の朝食は赤味噌の蜆汁とサーモンのホイル焼きにしてみたけど、どうだったかな?

海月は和食はあまり好きじゃ無さそうだけど…。

イーナの不安を知ってか知らずか、海月はいつものように

「おいしかったよ。」

と、言ってくれた。



目まぐるしく変わる景色と、スピーカーから響く曲。

(BGM:いとうかなこ 空の下の相関図)

揺れる車内。

海月が運転する四駆の軽自動車から見る景色は、普段背の低いイーナでは見る事が出来ないものが見えて楽しい。

隣りを見るとハンドルを握る海月は普段家で見る時より少し真剣な表情をしていて、ちょっと凛々しく見えた。

しばらくすると外を見るのに飽きて来て、欠伸をして椅子に深く座り直す。

「今日は何処に行くの?」

尻尾の毛を頬に当てながら訊くと海月は前を向いたまま

「デパートだ。冷蔵庫も空だし…。イーナも服とか選びなよ。」

と、応える。

イーナは人間じゃないから、汗もかかないし服はほとんど汚れない。

息だって声を出す時や、人の仕草を真似る時しかしなくても大丈夫。

本当、イーナは化物みたいだ。

でも、海月はイーナを連れて買物行く時には必ず'服とか選びな,なんて言ってくれる。

「稼ぎは良くないから高級ブランドは無理だけどな。」

イーナが何も言えず尻尾を触っていると、海月はそう言って笑った。



広い駐車場に着いて、ドアを開け車から降りる。

このじむにーと言う車は車高が高くて、イーナは飛び下りるように降りるのが少し楽しみ。

「いつもそれやるけど、なんか心配になるなぁ。怪我するなよ?」

先に降りている海月が心配そうに見て言う。

外は暑くて、太陽に照らされて遠くのアスファルトの地面には蜃気楼が見える。

「海月、イーナは海月が思ってるほど子供じゃない。バランス感覚には自信ある。尻尾でバランスがとれるから、海月よりこけにくい。」

駐車場を歩き、車止めの上で両手を広げてポーズをとって自信満々でイーナが言うと海月は

「なるほど、尻尾か。便利だなぁ。」

と、言いつつイーナの尻尾を見た。



デパートの中は人が沢山居て、たまにイーナを見て不思議そうにしている人も居る。

耳と尻尾が狐みたいでしかも目の色と髪の色が日本人と違うからだと思う。

たまに人じゃないものが人込みに混ざって歩いているけれど、ぱっと見では海月に何か悪影響になりそうなものは居ないみたい。

多分あの生きてない人は生前このデパートが好きだったんだろうな。

しばらく歩くと海月はアクシーズと書かれたお店の前で立ち止まり、

「ここの服とかどう?」

と訊いてきた。

良くわからないけど、ロリータとか言うジャンルの服なんだと思う。

「…可愛い。」

そう応えて店内を見渡す。

でも何でロリータ?

あぁ、海月はこういうのが好きなのかな。

刺繍入りハイウエストスカート(4935円)を見ていると少し背が高い茶髪の綺麗な店員がやって来て、イーナの後ろに居た海月に

「妹さんですか?可愛いかっこうしてますねー。コスプレか何かですか?」

とか訊いていた。

海月はちょっと困ったように

「え、いや、まぁそんなとこです。」

とか応えて居る。

下手な嘘だけど、笑顔でさり気なく海月の手に触れたりしている店員はかなり馬鹿そうだから多分ばれない。

…後で海月と手を繋ごう。

イーナはハイウエストスカートと組み合わせる服がお店の中央に置かれたカタログに書いてあるのを見て、サイズの合う服を探して揃えた。

店員はそれに気が付いて、

「あ、試着してみます?」

と訊いて来る。

馬鹿そうだけどサービスは良いみたいだ。

試着室に入り、カーテンを閉めるとイーナはまず赤い首輪と髪を結んでいるリボンを外す。

首輪は外すと一瞬で、キスマークと赤い英語の文字で書かれたスリングに変わる。

何故か首輪だけ、外すとスリングになる。いつもの事だけど不思議。

これはイーナの媒体の銃Mk17の装備品。キスマークは本来スノーボード用品のメーカーらしい。

もしかすると、イーナは力を上手く制御すると媒体の銃の姿になれる…?

例えば、海月に触れている時に身体に力を半分海月に移したりしたら…。

考え事をしながら服を着替えていると、思ったより早く着替え終わり試着室の鏡を見た。

これは…。これなら海月を独り占め出来るかもしれない。

イーナは背が低いけど、幼い見た目だからこそこれを着こなせる。

最初に見ていたスカートと、襟2WAYスパンドビーブラウス(3990円)と、蝶&バラ刺繍カーデ(3990円)

カーテンを開くと海月と眼が合った。

前で待っていたらしい。

海月の隣りで海月に話かけていたあの店員も、イーナを見て固まった。

少しして頬を朱に染めた海月はイーナに指差しながら、首だけ店員の方を向けて

「あ、あれ下さい。」

と早口で言い、店員もその声を聴いて慌てて

「は、はい!分かりました!」

と応えてレジに向かう。

今日は良い日になりそうだ。
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