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三話「海月とイーナの休日の日々 後編」

三話『海月とイーナの休日の日々 後編』

元の服に着替え直して、アクシーズを出た。

海月は

「思ったとおりだ。イーナはひらひらした服が似合うな。」

って笑って、紙袋を持っていない右手で頭を撫てくれる。

…洋服の値段、合計で一万超えてた。

海月にどれくらいの稼ぎがあるのかイーナは知らないけど、昔でも今でも一万円は高価な気がする。

「…ごめんなさい。」

申し訳なくなって、そう言って少し俯いた。

買物に関しては海月に頼りっぱなしになっている。

「イーナは俺達、八神や坂目、友輔の好奇心で、イーナの都合に関係無く造られたんだから謝らなくて良いよ。」

俯くイーナに微笑み、少し申し訳無さそうな表情で海月は言った。

違う。違うよ海月。

イーナになる前は祠から出れず寂しくて、とても困っていて出たいと思っていたから。

でもこれは海月は言えない事。

言えばきっと不気味だと、化物だと思われてしまう。

だから

「…ありがとう。」

そう言って、笑って海月の手をとり歩く事しか出来ない。

少し歩くと正面に中古ショップの入口が見えて来て、通路が左右に分かれている。

左に行くと外だから右へ歩く。

しばらく歩いて登山用具が売っている店を過ぎ、また右へ曲がるとエスカレーターが見えて来て、それを使って二階へ上がる。

エレベーターもあるみたいだけど、デパートに来る時は海月はいつもエスカレーターを上がってすぐ近くにある本屋に立ち寄るのが正解。

本屋で海月があーむずまがじん(何か銃の写真がいっぱい載ってる)を立ち読みしている間、イーナは漫画を見に行く。

漫画は種類が多くて探すのが大変。

「まど…か…あ、あった。」

少し背伸びをして目的の漫画の新刊を取り、雑誌コーナーに戻ると…あれ?海月が居ない。

慌てて店内を探すと、隣りの別の雑誌コーナーに居た。

「海月!」

イーナが呼ぶと、海月は慌てて雑誌を閉じて本棚へと戻す。

一瞬雑誌の表紙にLOって書いてあったのが見えたけど、何の雑誌だったんだろう?

「お、おぅ。新刊見つかった?」

何事も無かったかのように訊いてくる海月をちょっと不審に思ったけど、

「うん。これ。」

と応えて持っていた漫画を差し出す。

家にある漫画はもう全部読んでいるから、海月が探している続きの新刊は全部分かる。

「ありがとう」と言って受け取りレジへ向かう海月を見送っていると、ふと隣りに同じくらいの背の少女が立っている事に気付いた。

驚いてそっちを向くと、頭にブルーベリーソースのチーズのような帽子を乗せた少女は嬉しそうに

「お揃いだね。」

と、言ってくる。
「お揃いって?」

何の事か分からずに訊くと、

「君はスカーヘビーMk17でしょ?私はPX4サブコンパクト。人じゃないの。それに、私も好きな人と買物に来てる。ね?お揃い!」

その場で回って黒いスカートの端を摘んでポーズをとり、そう言って見せた。

声も出せず驚いていると、眼鏡をかけた少し頼りなさそうな少年が慌てた様子でやって来くる。

「ピクシー、ダメだお!勝手に一人で行っちゃ。ただでさえ目立つかっこうしてんだから。」

少年はピクシーと呼んだ少女の手をとり、少し不思議そうにこっちを見た。

それに気付いたピクシーは

「私と一瞬なんだよ!他にも居たんだね銃精!」

と、少年に説明する。

少年はそれを聞いて

「ま、マジかお!?って、んなわけねーお!お前自分が都市伝説並に現実離れした奴だって自覚無さすぎだお。ほら、早く行くお。」

とか騒ぎながらピクシーを両手で掴んで、引きずって本屋を出て行った。

引きずられながらピクシーは「嘘じゃない~!銃精仲間~!」とか叫んでかなり辺りの視線を集めてしまっていて、イーナはそれがちょっと心配になった。

「どうした?」

って声で我に返る。

海月が買い終わった本の入った袋を抱えて隣りに立っていて、しゃがんで私の顔を覗きこんでいた。

「な、何でも無い。大丈夫。」

何とかそう声を出して、イーナは海月の右手を握る。

それを見て海月は、

「そっか。…なぁ、そろそろ昼飯にしようぜ。」

と、笑った。



なごやといっえばーすっがきやらーめん♪

テレビCMを思い出す。貧乏舌だと言われるかもしれないけど、イーナはこの行った事も無い知らない名古屋と言う土地の味が結構好き。

「イーナ、は安上がりで助かる。」

特製らーめんに息を何度も吹きかけるイーナを見て、海月は申し訳無さそうな顔で言う。

別に遠慮してスガキヤ選んだ訳じゃ無いんだけどなぁ。

「これ、おいしいよ?」

数枚の薄いチャーシューを食べながら言うと海月は

「まぁうん。そうだな。スガキヤは学生時代よく食ったよ。」

なんて言って美味しそうに自分のらーめんを食べる。

熱そうだ。

そうだ!ドラマとかだとこういう時、

「海月、ふーふー…はい。」

実行してみた。

イーナのらーめんを吹いて冷まし、スガキヤ独特の赤い箸で麺を海月にそう言って突き出す。

何だか恥ずかしい。

海月も同じらしく、かなり戸惑った様子で頬を赤くしながら食べた。

「あ、ありがとう。いや、イーナ、ダメだぞ。こう言うのは…」

保護者としての説教、とでも言うような事を言いかける彼に

「海月にしかしない。」

とだけ言って、恥ずかしさを押さえるように自分のらーめんに集中する。

…熱い。アイスも食べよう。



ソフトクリーム片手にゲームセンターに入る。

(BGM:ryo初音ミク メルト)

ゲームセンターでは太鼓のゲームを高校生らしい少女がプレイしていた。

この曲はそのゲーム機から聞こえてるみたい。

「上手いなー。ミス無いんじゃないか?」

海月も少しその少女を見てそう呟くと、縫いぐるみの入ったクレーンキャッチャーに向かって歩いていた。

慌てて海月の後を追う。

もうBGMは聞こえない。クリアーしたらしい。

さっきまでゲームをしていた少女はイーナを見て微笑んでいたけど、とりあえず海月の後を追う事にした。

海月はクレーンゲームの前に立つと真剣な顔で縫いぐるみを見る。

イーナにはよく分からないけど、どうも狙いがあるみたいだ。

百円玉が投入され、1のボタンが押されるとクレーンが横に動き、2のボタンで縦に動き、アームが下がる。

熊の縫いぐるみの足端にアームが掛かった。あれじゃ持ち上げられないんじゃ…

そう思っていたら、足を持ち上げた熊の縫いぐるみはバランスを崩して転げ、穴に落ちる。

「お、やったな。」

海月は控え目に喜び縫いぐるみを取り出すと、

「さっき買った服に合いそうだろ?はい。」

そう言ってソフトクリームを食べ終わったイーナに茶色の毛並みで赤いリボンをつけた熊の縫いぐるみを差し出した。

「え…いいの?」

驚きながらも、熊の縫いぐるみを受け取る。

まるでデートみたいだ。

嬉しくて縫いぐるみを抱き締める。

でも、

「そろそろ帰るか。八神も待ってるだろうし。」

その一言をついに海月が言う。

嫌だ。まだ二人だけで居たい。

でも、わがままを言えば海月はきっと困ってしまう。

だから素直に

「うん。分かった。」

明るく応えて、手を繋いだ。
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